I taste a liquor / Emily Dickinson

 

 Written by Keiko Kotani

 

I taste a liquor never brewed Emily Dickinson

 

わたしは酌む、人が醸造したことのない酒を ―

真珠をくりぬいた大杯で ―

ライン地方の大桶をぜんぶ集めても

こんなアルコールはつくれない!

 

空気に酔いしれる者 ― わたしは ―

そして露に耽溺する奴 ―

千鳥足で ― はてしない夏の日々 ―

青天井の酒場からよろめき出る ―

 

酩酊した蜜蜂を

ジギタリス亭の「ご亭主」が戸口から追い出しても ―

蝶々が ― 最後の「ちびり酒」をあきらめても ―

私はもう一杯もう一杯と呑み続ける!

 

やがて天使たちが純白の帽子をふる ―

そして聖徒たちは ― 窓辺に駆け寄る ―

このちっちゃな呑べえが

太陽 ― にもたれている姿を見るために ―

 

(岩波文庫「対訳ディキンソン詩集」より)